ワークウェア
Case Study 02
約2年にわたり、日本各地で伝統的な作業着の実地調査を行ってきました。そのうちの約半年は、世界各国から集まった熱心で探究心あふれる方々がお供をして研究を重ね、その過程のなかで辿り着いたのが、このオーガニックコットンの羽織です。生成りの綿織物は、ふっくらとした質感を持ちながらも通気性に優れ、身につけると軽やかな着心地を感じられます。前で結べば法被のように日常着として、あるいは作品を披露する場にも適しています。横で結べば作務衣のような着方となり、細かな手仕事に向き合う際にも動きを妨げません。
古い文献や絵に残る作業着や、伝統的な職につく方々が見せていただいた実際の作業着を参考にパターンを作っていきました。袖の「もじり」は、着物の袖をもとに、幅広い職業の方が古くから取り入れた、作業の妨げとならないよう工夫して生み出した形です。背中や脇にはわずかなゆとりを加え、現代の身体の動きにもより自然に沿うよう調整しています。両脇の深いポケットは道具やスマートフォン、手帳などを収めるためのものです。背面のループは、一日の仕事を終えたあと、衣桁やフックに素早く掛けておくために設けられています。また、背中には背守りを儲けてます。魔除けでもあり、痛やすい部分を補助するためでもあります。
生成りは、綿そのものが持つ自然の色です。まずはこの状態で着用することをおすすめします。やがて擦れや変色が現れる箇所に気づくでしょう。それは日々の仕事が衣服に刻まれた痕跡でもあります。その後、染め直すことで、また異なる表情を楽しむことができます。縫い糸にもオーガニックコットンを使用しているため、草木染めや藍染めなど、どの染色にもよくなじみます。
さらに、この作業着を自ら整え、長く使い続けるための道具として、刺し子キットも用意しました。各地での調査を通じて繰り返し語られてきたのは、「作業着は手入れしてこそ価値がある」という考え方です。
漁師、絵描き、大工など、多くの働く人々は綿の衣服を身につけてきました。古い着物を解いて仕立て直し、擦り切れた布を継ぎ合わせ、肘や膝、前腕や襟元には刺し子を施して耐久性を高める。仕事と生活を分ける必要も、意識もほとんどなく、作業着はそのまま日常着でもありました。そこには、歴史、記憶、実用性、そして個々の生き方が織り込まれています。